実は最近あまり日本画を書いていない。「絵、描いてる?」と聞かれると一瞬、詰まってしまう。作品自体は創っているし、結果的にはできるものは平面作品なのだが、一部に関しては、”日本画を描いている”とは言い難いのである。じゃ一体何をしているのか。それが困ったことになんとも一言では言えない。素材的には和紙や膠(にかわ)、顔料や岩絵など、日本画の画材なのだが、それらを使って、描くというよりは別の作業をしている時間のほうがずっと長い。それは版画のような事だったり、表具の技術だったりで、どのジャンル、というのがいまいちはっきりしない。一応、「ミクストメディア」と称してはいるのだが、これがなんだか座りが悪くむずがゆい。その。いかにもクールで最先端、きりきりと鋭い感性を想起させる響きとは、どうもイメージが違うのである。とはいってもほかになんと言っていいものか、ちょっといい言葉がみつからないので仕方なくそう言っている。
 だが本当は、それがなんであるかということなどにはこだわらないでただ、作品を見てもらえばそれでいいのだ。



丹野香織 2001.10 個展(牛久 )

『白いけし』  2001