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[No.1994-1]
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J.ブラームス パガニーニの主題による変奏曲 イ短調 Op.35
第1巻 主題/変奏曲1−14
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1862年から翌63年に書かれた作品。パガニーニが無伴奏バイオリンのために書いた 「24のカプリース」中最後の24番イ短調を主題とする変奏曲集。当時ブラームスは、天才ピアニスト、タウジッヒとの親交があり、それがこの作品が生まれるきっ
かけと言われている。この変奏曲(作品35)はそれぞれが14の変奏曲を持つ2巻からなっている。その第1巻。三度、六度、オクターヴでのめまぐるしい動き、リズム的に反対の動きを強いられる両手によるパッサージュ、グリサンドなど、ピアノ演奏上の難技巧がすべて注ぎ込まれた力作である。
+++1994 「上田敏を支援する会」会員報告テープ[SATOSHI in Budapest VOL.1]への解説 |
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[No.1994-2]
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F.ショパン バラード第1番 ト短調 Op.23
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1831年から35年、ショパンの20代前半に作曲された作品。同郷の詩人ミキェヴィッツが、ポーランドの伝説をもとにして書いた詩を下敷きにしているといわれている。
曲は物語の始まりを告げるような序奏の後優美な第1主題が現れる。華やかなアルペジョを経て、伸びやかな第2主題となる。曲想は変化にとみ、やがてダイナミックな幕切れをむかえる。
+++1994 「上田敏を支援する会」会員報告テープ[SATOSHI in Budapest VOL.1]への解説
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[No.1995-1]
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C.ラフマニノフ 前奏曲集より
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モスクワ音楽院を卒業したばかりのラフマニノフは、1892年に発表した幻想小曲集で才能がみとめられ、ことに第二番の前奏曲嬰ハ短調(前奏曲第1番 op.3-2)は彼自身の演奏により各地で大変な好評を博した。彼にとって、バッハやショパンのように、また1年先輩のスクリャビンのように12の音階のすべてを主音とする長短調24の前奏曲を作曲することは夢であったのだろう。1903年に10曲からなる前奏曲集(op.23)、1910年に13曲からなる前奏曲集(op.32)を書き上げた。先の前奏曲ハ短調(op.3-2)と合わせて24の前奏曲集の形になる。今回はその中から第21番(op.32-10)と第16番(op.32-5)の2曲が選ばれている。
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第21番 ロ短調 レント Op.32−10 |
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ラフマニノフはロシア正教の聖堂の鐘の音を愛したという。彼の前奏曲集の中
にも様々な鐘の響きが聴かれる。
冷たい空気をふるわせる鐘の音。特徴的な付点リズムによる主部は展開しなが ら荘厳な中間部に入る。主部の後半部が現れたのち、カデンツアを経て主部が再現され静かに終わりをむかえる。 |
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第16番 モデラート Op.32−5 |
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5連符の分散和音の上に美しい旋律が置かれた前奏曲。中間部では短調を含んで微妙に揺れ動く。 |
+++1995 「上田敏を支援する会」会員報告テープ[SATOSHI in Budapest VOL.2]への解説 |
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[No.1995-2]
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J.S.バッハ 平均率クラヴィーア曲集 第2巻より 第12番 ヘ短調 BWV881
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バッハは生涯最後の10年に自らの作品の整理・編集を試みていた。この時期の1742年頃、長短24の全ての調の前奏曲・フーガから成る2つ目の鍵盤曲集(=平均率クラヴィーア曲集第2巻)をまとめている。「平均率…」第1巻の成立から20年が経ち、息子のC.P.E.バッハらが活動を始めたころのことである。様式に統一性が感じられる第1巻に対し、第2巻はより多様な形式と豊かな表現を含んでおり、来るべき時代を予示する作品集となっている。
第12番ヘ短調の前奏曲は、二部形式でホモフォニックな構造を持ち、旋律は繊細で情緒的といえる。フーガは3声でポリフォニックな流れをホモフォニックな間奏部が遮る。主題・その派生動機ともに同音の反復が印象的で、振れの力が内に蓄積してゆくようにも聴ける。
+++1995 「上田敏を支援する会」会員報告テープ[SATOSHI in Budapest VOL.3]への解説
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[No.1995-3]
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F.ショパン 12の練習曲 Op.10/Op.25より
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ショパンは、自身の進むべき新しいピアノ表現のために、それまでの型にはまったような練習曲では不十分だと感じていたようである。彼は19歳の頃から、自分の作品が要求している技術を克服するための練習曲(全27曲)の作曲を始めたといわれ、そのうち作品10の12曲は1833年、作品25の12曲は1837年に出版された。これらは、多様な技巧・表現の課題を含みながら、鮮烈な美を湛えた芸術作品でもあり、ショパンが生涯描き続けた独自のピアノ音楽の出発点となっている。
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Op.10−3 ホ長調 レント・マ・ノン・トロッポ |
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「別れの曲」として親しまれているが、作曲家による命名ではない。この曲についてショパン自身がこのように美しい旋律を、自分はこれまでに書いたことがない”と弟子に語ったという。対照的な中間部(ポコ・ピウ・アニマート)では複雑な転調が繰り返される。 |
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Op.25−6 嬰ト短調 アレグロ |
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3度の重音の練習曲。トリルや半音階進行も多く含まれ、難曲とされる。急進行する右手の3度和音の上に、刺すような詩情が満ちている。 |
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Op.10−8 ヘ長調 アレグロ |
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右手の流暢さを求める練習曲。左手が旋律を支え、右手が広音域に渡る様々なフィギュレーションを奏でてゆく。 |
+++1995 「上田敏を支援する会」会員報告テープ[SATOSHI in Budapest VOL.3]への解説 |
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[No.2004-1]
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W.A.モーツアルト (1756-1791)
バイオリンとピアノのためのソナタ(第40番) 変ロ長調 K. 454
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モーツアルトが最も自在に演奏した楽器はバイオリンとピアノであろう。古典派のバイオリンソナタの多くは、いわば「バイオリン付きのピアノソナタ」であるが、このK.454はモーツアルトのバイオリンソナタ
(66曲) の中でも完成期の作品であり、2つの楽器が対等に響き合う二重奏となっている。モーツアルトはこの曲をお気に入りのバイオリニスト、ストリナサッキのために書き、彼女とともに1784年ウイーンで初演した。ピアノパートを書き上げる時間が無く、モーツアルトは楽譜無しでピアノを弾いたという。
第1楽章
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ラルゴ−アレグロ 序奏付きのソナタ形式。変化に富んだ楽章。 |
第2楽章
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アンダンテ ソナタ形式の緩徐楽章。
「感情とコンチェルト的な輝きとが密接にとけあっている...」
(アインシュタイン) |
第3楽章
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アレグレット ロンド
「常に新しい、人を幸福にする不意打ちをもたらす」 (アインシュタイン) |
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+++2004「ルッツ・レスコヴィッツ&ヒロコ・シューベルト デュオリサイタル」
プログラムノーツより |
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[No.2004-2]
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L.v. ベートーヴェン (1770-1827)
バイオリンとピアノのためのソナタ(第5番) ヘ長調 Op. 24
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べートーヴェンは優秀なピアニストでもあった。彼の10曲のバイオリンソナタの多くは優れたバイオリニストをゲストとし、自分がピアノパートを弾くことを想定して書かれた。「春」という題は後世のものであるが、清澄な気配に満ちたこのソナタにはふさわしいであろう。この曲を書いた1800-01年頃、ベートーヴェンはバイオリンソナタ第4番、交響曲第1番、ピアノソナタ「月光」なども完成させている。難聴の兆しに悩みつつも、彼はまだ、社会的成功にも恋愛にも夢を抱いた洒脱な若手作曲家だった。次第に聴覚を失い、孤高の巨人となってゆくその後の道のりを思うとき、このソナタのうら
らかさが痛い。
第1楽章
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アレグロ (快活に) ---- 清々しいあの主題から始まる |
第2楽章
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アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォ
(ゆったりととても表情豊かに) |
第3楽章
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スケルツォ−トリオ、 アレグロ・モルト (とても快活に) |
第4楽章
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ロンド、 アレグロ・マ・ノン・トロッポ (適度に快活に) |
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+++2004「ルッツ・レスコヴィッツ&ヒロコ・シューベルト デュオリサイタル」
プログラムノーツより |
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[No.2004-3]
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J. S. バッハ (1685-1750)
シャコンヌ 無伴奏パルティータ(第2番)ニ単調 BWV 1004より
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バッハの「無伴奏バイオリンのためのソナタとパルティータ」全6曲は高度のテクニックと音楽性を要する作品群とされる。バイオリンを知り尽くしていたバッハは、さらにこの楽器の可能性を追求したのだろうか。
パルティータでは舞曲ばかりを組む。この第1番ではアレマンダ、コレンテ、サラバンダ、ジガ、のあと、終曲としてチャコーナ
(シャコンヌ) が置かれている。本来のシャコンヌはスペイン起源の快活で快速の舞曲だが、バッハの楽想は枠にとらわれてはいない。シャコンヌは変奏曲であるが、ここでは冒頭の4小節の主題の変奏が、初めは2回、中盤から1回づつ、64回
(2×32回) 細や
かに綴られてゆく。 |
+++2004「ルッツ・レスコヴィッツ&ヒロコ・シューベルト デュオリサイタル」
プログラムノーツより |
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[No.2004-4]
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C.フランク (1822-1890)
バイオリンとピアノのためのソナタ イ長調
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バッハをこよなく尊敬していたフランク。ベルギーで生まれフランスに移った彼は36才から終生、教会のオルガニストをつとめた。多数のオルガン作品のほか、室内楽、オーケストラ作品を残しているフランクの、唯一のバイオリンソナタがこの作品(1886年)。バイオリンソナタの白眉といわれるこの曲は、甘美な音色を持つバイオリニスト、ウジェーヌ・イザイ
(1858-1931)への結婚の
贈り物となった。
この曲は、第1楽章冒頭の音形を素材として全曲を導きだす「循環形式」で書かれている。たゆたうような半音階、うつろう調性も美しい。このフランクから静かに音楽の近代が始まり、時代はやがて調性崩壊へとむかう。
第1楽章
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アレグレット・ベン・モデラート
展開部のないソナタ形式----つややかで深いバイオリンの歌が、抑制されたピアノとともに滑り出す。
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第2楽章
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アレグロ ソナタ形式 ---- ここにきて迸る激情。 |
第3楽章
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レチタティーヴォ〜ファンタジア(叙唱と幻想曲):モデラート
自由な形式による ---- 苦悩と浄化とを行き来するかのよう。 |
第4楽章
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アレグレット・ポコ・モッソ
自由なロンド形式。これまでの主題が回想され、コーダへ
---- ついには魂が解き放されるような、終曲。 |
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+++2004「ルッツ・レスコヴィッツ&ヒロコ・シューベルト デュオリサイタル」
プログラムノーツより |
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